1 不十分な金融教育とマネー環境の変化
この春新社会人になったお子さんを持つ親御さんも多いと思います。子供の教育も終わり子供が経済的に独立することで親の大きな責任の一つを果たせたとほっとしていることと思います。しかし、子供が新社会人としてスタートするこの時期、もう少しだけアドバイスをしてあげてみてください。
残念ながらまだまだ日本では学校教育の中で金融教育が十分に行われているとは言えません。税金や社会保険の負担あるいは給付などについて子供はほとんど知らないのではないでしょうか。また、学生のときまでは生活費の大部分を親にみてもらっていたのがこれからは自分の収入で生活をし、将来は家族を養っていかなければなりません。親からもらったこずかいやアルバイト収入の範囲で使っていたお金も給料や賞与をもらうようになると扱う金額が大きく増えることになります。このように社会人になると乏しい金融知識の中でマネー環境は激変することになります。
一方、会社に入っても新入社員に十分な金融教育をしてくれる企業は少ないと思います。定年を控えた50代に老後のライフプラン研修を行う企業は増えてきましたが、入社早々の社員にライフプラン研修をしてくれる企業はまだ多くはありません。
2 子供へのアドバイス
四月は年度替わりや人事異動などもあり何かとあわただしい季節ですが、ここは一つ人生の先輩としてお金との向き合い方をアドバイスしてあげてみてはいかがでしょうか。ご自身の失敗体験や経験を通じてわかったことなどはお子さんにとって重みのある言葉になると思います。何を話していいかわからないという方はまずは次の事項を話してあげてください。
(1)先取り貯蓄
給料をもらい始めたときから「収入-貯蓄=支出」の先取り貯蓄を習慣にすることで将来お金に困ることはなくなると思います。
(2)社会保険
厚生年金、健康保険、雇用保険の保険料は会社と本人が負担し、どのくらいの負担か、また、それぞれの給付にはどのようなものがあるかを知ることは大切です。
(3)税金
所得税の計算方法の概略と所得が増えると税率が上がること、源泉徴収と年末調整についての知識は必要です。住民税の所得割は10%で住民税は翌年6月から給与から徴収されるということも大事なこ とです。
(4)保険
新社会人に死亡保障、医療保障は必要か、健康保険や会社の福利厚生制度を理解したうえで判断するようにしてください。
(5)クレジットカード
買い物と口座引落しのタイミングがずれることにより支出管理が難しくなること、リボ払いやキャッシングのデメリットを伝えてください。
アドバイスする方にとってもすべてを即答することは難しいかもしれませんが、これを機会に調べ直してみることも十分価値あることと思います。
このコラムは2018年4月6日「YAHOO!ファイナンス NISA/投信ページ」に掲載されました。