1 大学進学の教育資金
子供が生まれると将来の大学進学を想定して教育資金の準備を始める必要があります。国立大学の入学料と4年間の授業料は約243万円(「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」より)となっています。私立大学では入学料、施設設備費と4年間の授業料は文科系学部の平均で約339万円、理科系学部の平均で約465万円(文部科学省「平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」より)となっています。このほかにも受験料や通学費用、教材費などもかかりますので300万円から500万円は準備しておきたいものです。自宅外からの通学となるとさらに費用がかかることになります。
この教育資金の準備として児童手当を定期預金等に積み立てている家庭も多いようです。児童手当は第2子までの児童には3歳未満は月15,000円、その後中学校修了まで月10,000円、第3子以降の児童には小学校修了まで月15,000円、その後中学校修了まで月10,000円が支給されます。(一定の所得制限を超える場合は当分の間一律月5,000円)これを全額積み立てていくと中学校修了までに第2子までは約200万円、第3子以降は約250万円貯めることができます。ただし第2子までの場合でまだ100万円から300万円が不足します。この資金の準備に頭を悩ませている方も多いと思います。
2 扶養控除による税額軽減額を確保しよう
児童手当は中学校修了で終わってしまいますが、16歳からはそれに代わるものがあります。それは扶養控除による税額の軽減です。16歳から18歳までの扶養親族を有する場合には所得税で38万円、住民税で33万円の所得控除が受けられます。また、19歳から22歳までの扶養親族(特定扶養親族という。)を有する場合には所得税で63万円、住民税で45万円の所得控除が受けられます。
これらの所得控除による税額軽減額はどのくらいになるか見てみましょう。課税される所得金額が195万円超330万円以下の場合所得税率(復興特別所得税を含む。以下同じ。)は10.21%、住民税は一律10%ですので、子供が16歳から22歳までの税額軽減額は、
(380,000円×10.21%+330,000円×10%)×3年+(630,000円×10.21%+450,000円×10%)×4年=652,686円(16歳から18歳までは1年当たり71,798円、19歳から22歳までは1年当たり109,323円)
となります。課税される所得金額が330万円超695万円以下の場合では所得税率は20.42%ですので同様に税額軽減額を計算すると、1,026,372円(16歳から18歳までは1年当たり110,596円、19歳から22歳までは1年当たり173,646円)になります。ご自身またはご家族の方の課税される所得金額は会社員の方であれば源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額になります。(住宅ローン控除などの税額控除の適用がある場合には税額軽減額が減る場合があります。)
適用される所得税率が10.21%の場合は児童手当の額には及びませんがある程度の金額にはなります。適用される所得税率が20.42%の場合には7年間の合計でみると月10,000円の児童手当の額を上回ります。この税額軽減額は児童手当のように別個に振り込まれるものではなく毎月の給与から徴収される税額が減少するというものです。(住民税については翌年の6月から減少します。)このため意識して貯蓄に回さないと毎月の家計収支に埋もれてしまいますので注意が必要です。児童手当が終わった後も最低でもこの税額軽減額は児童手当と同じように教育資金として積み立てに回すことをお勧めします。
このコラムは2017年11月10日に「YAHOO!ファイナンス NISA/投信ページ」に掲載されました。