犬山忠宏
税理士事務所/FPオフィスp.1

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入院日を選べる入院なら月初の方がよい

2017.08.29

1     高額療養費制度

誰もが健康でありたいとは思っていますが、長い人生の中では入院が必要になることもあり得ます。急性の疾患ですぐに入院が必要な場合は別ですが病状によっては数週間から1ヶ月程度の範囲で入院日を選べる場合もあります。この場合、できれば月の初め頃に入院した方が得になる可能性があります。

それは入院日によって健康保険の高額療養費制度の給付金が変わってくる場合があるからです。高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食費負担や差額ベッド代等は除く。)が、ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。上限額は加入者が70歳以上かどうかや、加入者の所得水準によって変わってきます。

 

2     月初の入院の方がよい理由

月初の入院の方がよい理由は高額療養費の算定が歴月単位(1日から月末まで)で行われるからです。医療機関は健康保険に対して医療費を毎月、歴月単位で「レセプト」で請求します。月をまたいだ入院の場合請求額は月ごとに分かれた額になります。

入院日数や手術の時期などによって変わってきますが、月初から入院した方がその月の支払額が多くなり給付金の支給額が多くなる可能性が高くなります。たとえば3週間の入院で高額療養費の対象となる医療費の窓口支払額が15万円(健康保険負担分を含めた医療費は50万円)だったとします。他に合算対象となる医療費は支払額はないものとします。69歳以下で年収約370万円~約770万円の区分でひと月の上限額が「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」の場合とします。月初から入院してその月内に退院した場合、上限額は「80,100円+(500,000円-267,000円)×1%=82,430円」ですのでそれを超える「150,000円-82,430円=67,570円」が支給されます。

一方、たとえば20日に入院して翌月9日に退院した場合医療費の請求額は月ごとに分かれます。仮に入院した月の窓口支払額が10.5万円(医療費は35万円)で翌月が4.5万円(医療費は15万円)だった場合、入院した月は上限額は「80,100円+(350,000円-267,000円)×1%=80,930円」です。これを超える「105,000円-80,930円=24,070円」が支給されますが、翌月は上限額80,100円を超えないので支給額はありません。月初から入院した場合と20日から入院した場合で支給額に43,500円の違いが生じます。

このようにできるだけ入院費用がひと月に集中した方が給付金の支給額が多くなる可能性が高くなります。入院日について医師の指示に従うことはもちろんです。選ぶことができる場合でも実際には仕事や家庭の事情で決めざるを得ない場合も多いと思いますが、もし、制約がなければ参考にしてください。

 

このコラムは2017年8月24日に「マネーの達人」に掲載されました。

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